自分の暮らしぶりを見つめよう~環境家計簿~

自分の暮らしぶりを見つめよう~環境家計簿~

このコラムは、「心地よいエコな暮らし」をどのように実現できるかを紹介してく不定期コラムです。

第1回目は、エネルギーのエコな暮らしに着目して、皆さんの家でどこにエネルギーを使っているか考えてみましょう。

一般的な暮らしのエネルギー使用量

上の表は、各地域で一般的な暮らしをした時に何の用途にエネルギーを使用しているかを試算したものです。

岐阜市や東京(一番上のグラフ)の温暖地では、オレンジ色を給湯が全体の1/3を占めています。次いで家電(緑)、暖房(赤)と続きます。

一般の方へのアンケートでは、夏や冬になると電気代が上がったり灯油を買ったりと増減が激しいので暖房や冷房を多く使っているといった結果が出ていますが、上のグラフのように年間通して利用している給湯と家電が多く、住宅全体エネルギーの半分を占めていることがわかります。

つまり、エネルギーを減らそうと考えれば、給湯や家電に着目して対策をするのが効果的です。

一方でこれから迎える夏の冷房(青)は数8%とかなり少な目なので、通風や冷房を我慢しても、たいしてエネルギーが減らないことがわかります。暖房に比べても、期間が短く(冷房は7、8月の2か月程度に対して、暖房は12~3月の4カ月)、温度差が少ない(夏は28℃設定で外気温が35℃だと7℃差、冬は20℃設定で外気温5℃だと15℃差)ため、少なくなっています。我慢せずに冷房はつけてください。

外が涼しいときの通風も効果が薄いからと敬遠せず、次の回でお話しする「心地よさ」に影響しますので、積極的に行動してください。

環境家計簿

さて今回の本題です。

そうは言っても、暮らし方によっては暖房をもっと使用していたり、給湯が多かったりと違いがあるはずですよね。

その暮らしぶりを考えるきっかけになるのが「環境家計簿」です。

「環境家計簿」は森林文化アカデミー木造建築専攻のダウンロードページ簡易版のツールをアップしています。環境家計簿の使い方と分析方法の動画も見れます。

環境家計簿をダウンロードすると、下のような数字がいっぱい並んだデータが手に入ります。

まずは最上段に書かれている地域の表を選択してください。
岐阜市であれば温暖地(6地域)、美濃市は温暖地(5地域)、郡上八幡市は準寒冷地(4地域)、飛騨市は準寒冷地(3地域)といった具合です。

数字がいっぱいで面倒そうですが、実は使い方は簡単です。

環境家計簿の使い方

ステップ1:毎月やってくる電気やガスの明細の使用量を読み取る

ひと月分だけでも始められますので、まずはやってみましょう。

例えば2011年1月の我が家のエネルギー使用量は、

これだけ見ても多いか少ないかわかりませんよね。

ステップ2:下の表の世帯別の標準値(家計調査9,000世帯のデータから私がまとめた一般的な使用量)を確認

そこで、標準的な値と見比べて暮らしぶりを考えます。

我が家は2人世帯なので、環境家計簿の表から

と探し出します。

ステップ3:我が家と一般的な世帯を比較

では、我が家と標準値を比べてみましょう。

電気はかなり少ないけどプロパンガスが多いですね。

これをもとに暮らしぶりを考察してみます。

ステップ4:何の用途に使用しているかを考えて暮らし方を考える

例えば我が家ではプロパンガスは、給湯と調理にのみ使用しています。つまり、給湯か調理のどちらか、あるいは両方が多いことになります。最初に紹介した一般的な暮らし方では調理(グレー)はそんなに多くありません。調理を2倍使っても、ここまで増えるとは考えにくいとすると、給湯が犯人の可能性が高いです。

そこまで推理すると、心当たりがあります。私が毎朝シャワーを浴びてました。この朝シャワーが原因です。

ですが、このコラムでは心地よく暮らしながらのエコがテーマですので、我慢するのはよくありません。

犯人がわかれば対策を考えることは簡単です。現在は、太陽熱温水器を設置して、ガス使用量は1m3程度に激減しています。

いかがですか、他にも電気について考えたり、或いは1年を通して考えていくと、皆さんの暮らしぶりがどのようなものか見えてきそうではありませんか。

環境家計簿を前に、家族でそろって話しながら何かの気付きがあるかもしれません。
無駄に使っているエネルギーが見つかるかもしれません。
我慢せずに減らせるエネルギーが見つかれば、さっそく対策してみましょう。

翌月の電気やガスの明細書に結果が表れるはずです。

当然、エネルギーが減れば光熱費も減ります。

明細書が来るのが楽しみになるかもしれませんね。

准教授 辻 充孝

※イラストをたっぷり使った
「無理をしないで心地よくエコに暮らす住まいのルール」
を建築知識で連載中。
環境家計簿の話題は、2020年8月号(第2回)。こちらもぜひご覧ください。