気候の違いで建物が変わる

日本は北海道から沖縄まで南北に約3,000km、亜寒帯から温帯、亜熱帯までさまざまな気候帯に属しています。
また、標高差や海流の影響で冬は日本海側は雪や雨が多い一方、太平洋側では晴れの日が多くなったりと、各地で気候の違いが顕著です。この気候の違いが建物の造り方にも表れることがあります。

実際、全国各地を旅行すると、気候に影響を受けたであろう多種多様な民家に遭遇します。

例えば、世界遺産の岐阜県荻町の合掌造り集落。
豪雪で有名な地域で、屋根に特徴が表れています。

雪を落とす急勾配の茅葺屋根。屋根を東西に傾けることで朝夕の太陽で均等に雪を溶かし、南北の妻面で風を通します。同じ素材、同じ形態の家々が連なることで美しい景観を作り出しています。

一方、台風の多い高知県室戸市吉良川町の伝建地区。
壁に水切り瓦と呼ばれる小さな庇が付いています。強い雨や日差しから壁を守る工夫があります。

積雪地では、道に雪を落とさないように工夫された無落雪屋根や、夏の強い日差しを遮るように深く軒を出した住宅など、気象が建物に影響を与えることも多いのです。

それが、地域の景観をつくり魅力を与えてきました。現代の家づくりでも大切にしたい視点です。

※気候、風土の特徴が表れる伝統的建造物群保存地区が全国に120地区あります。

准教授 辻 充孝

※私のつたないスケッチではなく、イラストをたっぷり使った
「無理をしないで心地よくエコに暮らす住まいのルール」を建築知識で連載中。
気象データに着目した特集は、2021年1月号(第7回)。
このブログで書ききれない内容も書いてます。
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