日影図の勘所をつかむ

日影図の勘所をつかむ

日照を考える上で前回は南の隣棟の状況が大切で、日影図を書くことでいろいろ検討できることを書きました。

とはいっても検討初期段階から、たくさんの日影図を書くことは大変です。そこで、こんな立地環境だと、どんな影の影響があるかをパッとイメージできると効率的です。

そんな日影図の勘所を鍛えるために、いくつかの日影パターンを見てみましょう。

高さ毎の影の様子(4時間日影)

下図は高さ6mの隣棟建物の4時間以上日影になる範囲を測定面高さを変えて示します。(この範囲を外すと概ね4時間の日照が得られます。)
地盤から0.5mまでは変化がなく1階床面で隣棟から8.5mまで影響があります。2階FL(GL+3m)になると5.0mの離れです。1m上がる毎に概ね1.56m程度影のラインが下がっています。隣棟からどの程度離すと日照が得られるかの目安にしてください。

 

L型建物の自分の影の影響(測定高さGL+0.5m)

日射の影響があるのは隣の建物だけではありません。自らの影で影響を受けることもあります。
例えば、下図は南東に張り出した建物形状の場合です。
入隅部分は明け方の日当たりが悪く、午後から影の影響がなくなります。
逆に南西に張り出すと午前中は良好ですが、午後から影になってしまいます。
1日を通してみると、3時間以上日影になる南壁面の範囲は1m程度、2時間以上で2m程度にもなります。
この午前午後の日照状況を意識して間取りも検討したいところです。

 

隣棟の離れによりできる島日影(測定高さGL+0.5m)

隣棟の配置によっては思いもよらない部分に日照時間の少ない部分ができることがあります。
下図は島日影と呼ばれる影です。

中央部の色の濃い部分は、5時間以上影になる場所です。
ここに建物を計画しようと考えると、南には建物がありませんので、一見日当たりが良さそうに見えますが、実はそうではなかったということもあるのです。

3階建て程度の比較的高めの建物で、建物間が東西にある程度の距離離れている場合にこの島日影が発生します。

 

街区の影のでき方(測定高さGL+0.5m)

周辺を建物で囲まれた街区ではどんな影ができるのでしょうか。
下図は、住宅地を想定して前面道路を北(左上、右上)、南(左下)、西(右下)に変えて等時間日影図を見てみます。
当然ながら敷地に日照が最も当たるのは南が抜けている場合(左下)です。東西の場合(右下)は、朝か夕方のどちらかが多くなりますが、建物を南に寄せすぎると日照が得られません。
北(上段)は総じて不利ですが、たとえば南東が庭や駐車場などで抜け(右上)ていたりすると意外なところに日照スポットが現れる場合があります。
2階はより有利になりますので、密集地では二階からの日照取り込みなど、高さを活かした計画も考えましょう。

いかがでしたか?
いくつかのパターンを日影図で検討してみました。予想外のところが影になっている場面があったかもしれません。

実際は敷地形状がもっと複雑だったり、樹木の影響があったりと、さらに予想しないところが影になってしまう場面が出てくるかもしれません。

もっと日影図を書いていくことで、現地に行ったり、敷地図を見るだけで、ここが良さそうといった勘所が身に付いてきます。
そうすれば計画にとれる時間がより多くなります。

准教授 辻 充孝

※「無理をしないで心地よくエコに暮らす住まいのルール」を建築知識で連載中。
周辺環境から日影をよくことに着目した特集は、2021年3月号(第9回)。
隣棟からの日照検討の演習や、このブログで書ききれない内容も書いてます。

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