炭素貯蔵量を計算してみよう!

ぜんぶ絵でわかる7 エコハウス」203頁でCO2削減には多様な方法があることを示しています。
今回はその中の森林吸収の補足です。

日本では2030年度までに森林吸収量を約3,800万トンCO2(2013年度総排出量比で約2.7%)とする目標を掲げています。特に直近のCO2排出を抑えることが大切です。

森林はCO2を吸収し、炭素を蓄積する重要な役割を果たしており、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの一環として位置づけられています。
特に、人工林の再造林や木材利用の促進が、目標達成の鍵となっています。

樹木が成長過程でCO2を最も効率的に吸収する樹齢は、一般的に樹木の若い時期から中期の成長段階と言われています。この期間、樹木は幹や枝、葉を急速に拡大させるため、光合成の活動が活発になり、CO2の吸収能力が高まります。
具体的には、樹齢が10年から50年程度の間が、吸収量がピークに達することが多いです。

そのためにも、木材を丁寧に長く使い木材の中に炭素を固定したまま、再造林を行うことで、炭素を吸収できる若い森に若返らせることが大切です。
もちろん、焼却すると再度大気中に戻ってしまいますので、長く使う長寿命化が必須になります。

では使用した木材にどのくらいの炭素が固定されているのでしょうか。

林野庁から「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」が公開されています。

計算は非常に簡単です。

材積に密度と炭素含有率、換算係数※を乗じるだけです。

例えば、ヒノキの柱一本の炭素量を計算してみましょう。

12cm角、2.5mの柱の体積は、0.12m×0.12m×2.5m=0.036m3です。
ヒノキの密度は、表より0.383t/m3ですので、0.036m3×0.383t/m3×0.5×(44/12)=0.0253t-CO2です。
つまり25kgものCO2を蓄えているのです。

住宅で使用する木材を25m3と仮定すると、
25m3×0.383t/m3×0.5×(44/12)=17.554t-CO2
となり17tものCO2を蓄えていることになります。

なるべく長く木材としての役割を担ってもらうことで、直近のCO2排出量の削減に効果的です。

※換算係数44/12は、炭素の原子量12を二酸化炭素の分子量44に変換する係数

林野庁HPからガイドラインと炭素貯蔵量計算シートが入手できます。

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