近つ飛鳥博物館(大阪府)

建物名 近つ飛鳥博物館 住所 大阪府南河内郡河南町東山299
設計者 安藤忠雄(安藤忠雄建築研究所) 施工者 鴻池組、三菱建設
建築年 1994年 訪問日 2025/10/12

大阪芸術大学に通っていた頃、竣工したばかりの近つ飛鳥博物館を訪れた。

憧れの安藤忠雄さんによる設計は、当時の私にとって「建築が風景とどう関わるか」を考えるきっかけとなった。
今回の再訪は、改修工事の只中で、外構と1階ホール、地階展示室のみの限られたアクセスだったが、それでも空間の記憶は鮮やかに蘇った。

博物館は、近つ飛鳥の丘陵地に寄り添うように地中に沈み込んでいる。
安藤建築らしいコンクリートの量塊が、周囲の緑に溶け込みながらも静かな存在感を放つ。

ホールに入ると、安藤建築特有の光の演出が迎えてくれる。
天井から差し込む自然光が、打ち放しのコンクリートに柔らかく反射し、空間に静謐な緊張感を与える。展示は撤去されていたが、空間そのものが語る力を持っていた。

限られた範囲しか見られなかった今回の訪問だったが、安藤忠雄の建築が持つ「沈黙の力」は健在だった。学生時代に見た「新しい建築」が、今では「風景に沈む記憶の容れ物」として立ち現れる。再訪することで、建築が時間とともに成熟し、見る者の記憶と重なり合うことを実感した。

 

廻りには一須賀古墳群が広がる。

少し足を伸ばすと、叡福寺があり、聖徳太子の墓がある。

叡福寺の聖徳太子御廟は、建築というより「地形と信仰が織りなす空間装置」として、静かに圧倒的な存在感を放っている。
円墳・結界石・周囲の伽藍が一体となり、太子信仰の中心としての構築性が感じられる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA