昼光の美しさ(光の質)

バウビオロギー25の指針に光ついての項目があります。

「空間造形と建築」の「自然に近い光のバランスと色に注意し、点滅のない照明(光源)を用いる」です。

やはり自然がお手本になります。

照明設計の目安というと、照度の基準(JIS Z 9110:2010)が有名です。
居間で読書するなら500 lxとか、子ども部屋で遊んでいるなら200 lxなど書かれています。
照度はモノにあたる光の量を示しており、簡便に測定できるのでよく使われていますが、実際の明るさ感はモノから反射して目に入ってくる光の量(輝度)が大切です。

これらは光の量を示していますが、今回は光の質についてみてみます。

お弁当を外で食べると美味しいと感じた経験はあるのではないでしょうか。当然、開放的な場所性もあると思いますが、見え方も美味しそうに見えるのです。

それは太陽の光が虹色の光を出しているからです。
分光器を使ってさまざまな光源が出している光はどのようなものか見てみましょう。

太陽光 晴天時

太陽光をプリズムに通すと、様々な色の光に分解されます。これは波長によって見える色が異なるからです。

人が色として視認できる波長(およそ400nm~800nmの範囲)の光をまとめて「可視光線」と言い、可視光よりも長い波長の光を「赤外線」、短い波長の光を「紫外線」と呼びます。

晴天時の太陽光はまさに多様な光の集合体です。

太陽光 晴天時の日影

上と同じ時間の日影での光は赤い光が少し減少しています。大気で散乱した光・天空日射の特徴でしょうか。

太陽光 曇天時

直射日光のない曇りの日の光も日影と同様に少し赤い光が減衰しています。曇りの日は、どことなく青みがかった見え方になり、陰鬱な印象を受けてしまいます。

蛍光灯 昼白色

蛍光灯の光はどのような光を出しているのでしょう。赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の光が突出しています。RGBはいわゆる光の三原色で、混色すると白になります。パソコンのモニターなどもこの3つの光で表現しています。
つまり、中間色の光をなくすことで省エネにしていたのでしょう。昼白色なので緑が多めで白っぽい光です。

 

蛍光灯 電球色

では蛍光灯の電球色はというと、赤い光を多めに出して、昔の白熱灯のような光を再現しています。
とはいってもオレンジなどの中間色は出していないため、どこか発色が悪く感じてしまいます。

蛍光灯の下での食事は、鮮やかさに欠け何か物足りなさを感じてしまいます。

白熱灯

では昔、使われていた白熱灯はどうでしょう。

赤が強いですが、滑らかに連続して中間色の光も出ています。
蛍光灯が全盛の頃、建築家が好んで白熱灯を選択していたのは光の美しさからでしょう。とはいっても、発光効率が悪く、光よりも熱に多く変わってしまい省エネではありません。

さらに色目が赤っぽくなってしまい照明下では色再現性が得られません。
ですが、夕日も赤みが強く、その延長線上の夜間に点ける照明には白熱灯の赤味の方がサーカディアンリズム(体内時計のリズム)にとって良いのかもしれません。

ろうそく

ろうそくはさらに極端に赤い光です。白熱灯によく似ています。

古代から慣れ親しんだろうそくの人口光が白熱灯につながっていたのかもしれません。照度は極端に低く雰囲気照明として使えるくらいでしょう。

LED

最後に、近年主流になったLED照明です。

蛍光灯と異なり滑らかな連続した光を出しています。しかも省エネです。
太陽光には及びませんが、色温度や光の量も選択でき、しかも省エネです。主流になったのが理解できます。

ただLEDの機種によっては青色がきつく出るものも多く、目に刺激があるのには要注意です。(下記のLEDはヤマギワのもので青がかなり少な目)

今後は有機EL照明など、面で発光する照明も登場してきます。

基本的な原理は同じですが、

・白色光をつくる方式が、LEDでは青色LEDと黄色の蛍光体の組み合わせに対し、RGBの発光層を重ねるためより自然

・蛍光灯やLEDに比べて光の拡散や分光分布が天空光に近い

と、LEDより寄り自然光に近づきつつあります。今後の普及に期待です。

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