札幌農学校第二農場 モデルバーン(模範家畜房)(北海道)
| 建物名 | 札幌農学校第二農場 モデルバーン(模範家畜房) | 住所 | 北海道札幌市北区北18条西8丁目 北海道大学構内 |
| 設計者 |
W.ホイラー(基本設計)、安達喜幸(実施設計)
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施工者 | 開拓使工業局(安達喜幸) |
| 建築年 | 1877年(明治10年)竣工、1910年(明治43年)移築改築 | 訪問日 | 2026/3/28 |
開拓者の合理的機能美
北大キャンパスの北端、北18条。エルムの巨木を抜けた先に突如として現れる赤い屋根の木造建築群は、まるで150年前にタイムスリップしたかのような錯覚を覚えさせます。
この「モデルバーン」は、クラーク博士が母校マサチューセッツ農科大学の畜舎をモデルに構想した、日本近代酪農の象徴とも言える場所です。
■ 「バルーンフレーミング」が語る、フロンティアの知恵
この建築の最大の特徴は、当時アメリカ中西部で広まっていた「バルーンフレーミング(風船構造)」という合理的な構法にあります。
2インチ厚の薄い板材を釘で打ち付けるだけで、熟練の技術がなくても建設できるこの手法は、まさに未開の地を切り拓く開拓者たちのためのものでした。
興味深いのは、当時の日本人技術者・安達喜幸がこの新しい構法に不安を感じ、屋根にはバルーンフレームを採用しながらも、壁面には日本古来の在来構法を用いた「和洋折衷のハイブリッド構造」とした点です。
構造美の中に、異文化を受け入れる際の当時の葛藤と工夫が滲み出ています。
■ 風景として育つ、重要文化財の品格
1910年の移築を経て、スロープの撤去や煙突の新設など、時代の酪農技術の変化に合わせてその姿を変えてきたモデルバーン。
しかし、その根底にある「実用を極めた美しさ」は失われていません。牛頭の飾りがあしらわれた妻面や、周囲の緑に映える赤い屋根は、今や札幌の歴史的景観に欠かせないランドマークとなっています。
観光客の喧騒から離れ、誰もいない第二農場に佇んでいると、板壁の質感や構造の力強さが、かつてこの地で「大志」を抱いた人々の息吹を静かに伝えてくれるようでした。
北大の魅力は、モデルバーンだけにとどまりません。
キャンパス内には、それぞれの時代と志を象徴する歴史的建造物が、群として息づいています。
キャンパス中央へと足を延ばせば、重厚なゴシック様式の「旧理学部本館(現・北海道大学総合博物館)」や、白亜の外観が美しい「古河記念講堂」が、学問の殿堂としての品格を漂わせています。






















