基町高層アパート(広島県)大高正人 設計
| 建物名 | 基町高層アパート(基町地区再開発住宅) | 住所 | 広島県広島市中区基町 |
| 設計者 | 大高正人(大高建築設計事務所) | 施工者 | 広島県住宅供給公社 他 |
| 建築年 | 1978年竣工(1969年着工) | 訪問日 | 2026/7/1 |
広島の中心部にそびえ立つ巨木のような集合住宅群、基町高層アパート。メタボリズム運動の思想を具現化した建築家・大高正人氏の手による、高度経済成長期の日本建築史に燦然と輝く名作だ。
あいにくの雨模様の中での訪問となったが、湿り気を帯びたコンクリートの質感と、しとしとと降る雨が、どこかノスタルジックで静謐な雰囲気を際立たせていた。
一歩敷地内に足を踏み入れると、その異彩を放つデザインに圧倒される。ピロティで持ち上げられた巨大な住棟、グリッド状に広がる圧倒的なスケール感——。その姿は、近代建築の巨匠ル・コルビュジェが提唱した「ユニテ・ダビタシオン」の思想を強く感じさせる。
単なる「住まうための箱」にとどまらず、1階や人工地盤の基壇部には商店街、飲食店、理容室(床屋)などが自然な形で組み込まれている。住居でありながら、一つの都市機能をまるごとマンションの中に閉じ込めたような独自の空間構成は、現在見ても全く色あせない。雨のせいもあってか、住人たちがアーケードをゆったりと行き交う姿が印象的で、半世紀前に描かれた「理想の都市生活」が今も脈々と息づいていることを実感した。
戦後復興と基町団地
原爆投下後、この基町地区には木造の応急住宅(通称:原爆スラム)が自然発生的に密集し、防災や衛生上の大きな課題となっていた。これを抜本的に解決するため、住宅供給と都市機能の刷新を兼ねて計画されたのが、この大規模再開発住宅だ。
建築家・大高正人氏は、限られた敷地に最大限の緑地と広場(オープン・スペース)を確保するため、建物を高層化し、人工地盤の上へと生活空間を持ち上げるという大胆な手法をとった。復興から成長へと突き進んだ広島の「力強い再生のシンボル」でもあるのだ。
基町アパートのすぐ隣、2024年に開業した新しいサッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」にも立ち寄ってみた。
特に好印象だったのが、街に対してダイレクトにひらかれたエントランス周りの設計だ。非常に開放的で、街歩きの延長のようにスムーズ(スムーズ)にスタジアム内へ吸い込まれていく動線が心地よい。大高氏が基町アパートで目指した「都市と建築の連続性」が、時を経て隣の最新スタジアムにも新たな形で受け継がれているような、不思議な繋がりを感じる見学となった。
基町アパートのすぐ近く(広島城の北側)には、建築家・原広司氏が設計した「広島市立基町高等学校」もある。
梅田スカイビルや京都駅ビルを想起させる、ステンレスパネルやガラスを用いたSF的な意匠と、屋上付近に見られる雲のようなモチーフが実に印象的だ。「夜明けの様相」と名付けられたこの校舎は、1階にダイナミックなピロティ空間が広がり、最上階へ一気にアクセスする長いエスカレーターが備えられているなど、「学校」というよりも一つの巨大な未来都市のようなスケール感に溢れている。
基町アパートが昭和の「理想の都市」を描いた建築だとすれば、基町高校は平成の「未来都市」の姿。基町というエリアには、時代の先端を走った巨匠たちの都市への眼差しが凝縮されている。
広島駅にはLRTのホームにもスムーズに連携され、近未来感のある地域。












