断熱性能は「性能×厚み」で決まる

前回まで、敷地の良さを読み取り、建物を配置していくヒントを見てきましたが、今回から数回にわたって建物の温熱性能について考えていきます。 温熱性能の中でも最も基本となる断熱性能は心地よさの下地をつくる大切な性能です。冬は熱を逃がさず、夏は熱を入れません。保温性能と言い換えた方がイメージしやすいかもしれません。今回は断熱性能の基本要素である熱貫流率U値の計算をマスターします。計算を通してそれぞれの意味 […]

地域環境を読む

敷地分析図を描く 敷地の南はどんな家が建ってますか?隣の家の窓や室外機の位置はどうですか?同じ地域でも立地によって土地の持ち味は全く異なります。 ですが敷地周辺の調査をしようと、いきなり敷地に行くのは効率的ではありません。敷地に行っても、その廻りだけしか確認せずに見落としが発生する可能性が高いからです。まずは少し広い範囲で可能な限り予習をして出かけましょう。確認したいのは、山並みによる日照影響や周 […]

日影図の勘所をつかむ

日照を考える上で前回は南の隣棟の状況が大切で、日影図を書くことでいろいろ検討できることを書きました。 とはいっても検討初期段階から、たくさんの日影図を書くことは大変です。そこで、こんな立地環境だと、どんな影の影響があるかをパッとイメージできると効率的です。 そんな日影図の勘所を鍛えるために、いくつかの日影パターンを見てみましょう。 高さ毎の影の様子(4時間日影) 下図は高さ6mの隣棟建物の4時間以 […]

隣棟建物の日照を読む

前回のコラムでは、太陽高度から日の入り方の違いを見てきました。 ですが、実際の土地では、隣家や空地などの周辺環境で日照状況は大きく異なります。建物の配置計画は部位の構成を考える断熱設計と違って、後から変更することが困難です。周辺環境を読み、理想的な配置計画を考えましょう。 南の方位を大切にする 隣棟の建物を観察するときに、特に日照の上で大切にする方位はどこでしょうか。これは特別な答えがあるわけでは […]

太陽の傾きは季節と時間を読む

夏至と冬至の太陽の傾きから軒の出を検討する図をよく目にしますが、日照検討はこれで十分でしょうか? 夏至は6月21日前後、暑くもなく気持ちいい季節ですね。 気候データからも、最も暑い時期は7月下旬から8月上旬頃(大暑)です。そのころには太陽の傾きも低くなってきていますし、残暑の時期はなおさらです。 また太陽は12時の位置で止まっているわけではなく、東から日が昇り、西に沈んでいきます。まだ暑い15時頃 […]

発想の転換で地域の良さを見つける

気候の特徴を見極める 日本には地域気象観測システム(通称アメダス)が全国に約840か所も設置されています。(降水量を観測する観測所を含めると約1300か所) これらのデータは気象庁のHPを見るといつでも確認できます。http://www.jma.go.jp/jma/index.html 統計情報もきれいにまとまっていて、簡単に取り出すことができます。 気象データを取り出す手順ですが、 1.気象庁H […]

気候の違いで建物が変わる

日本は北海道から沖縄まで南北に約3,000km、亜寒帯から温帯、亜熱帯までさまざまな気候帯に属しています。また、標高差や海流の影響で冬は日本海側は雪や雨が多い一方、太平洋側では晴れの日が多くなったりと、各地で気候の違いが顕著です。この気候の違いが建物の造り方にも表れることがあります。 実際、全国各地を旅行すると、気候に影響を受けたであろう多種多様な民家に遭遇します。 例えば、世界遺産の岐阜県荻町の […]

居室を連続暖房して寒さをなくす

家全体をずっと暖房すると廊下やトイレまでくまなく暖かくなりますが、暖房費も高くなってしまいます。暖房をつけたり消したりすると、どうしても寒い部分が残ってしまいます。どんな建物性能や設備、運転のバランスがいいのでしょうか。 暖房すると居室からもれる熱で廊下などもほんのり暖かくなります。間仕切壁や建具は断熱性能が弱いからです。 ということは、全館暖房でなくても、断熱性能を向上させてLDKだけを連続暖房 […]

寝室の室内環境が最重要

住まいで一番大切にしたい空間はどこでしょうか。家族が集まるリビング?それとも子供室?もちろん、それらも大切ですが筆者としは寝室が最重要と考えています。 どれくらいの時間を住まいで過ごしているか考えたことはありますか?日本人の平均睡眠時間は7.6時間です。※1 食事や団欒の時間を含めると、多くの人は12時間以上家にいます。今年になって特に増えてきた在宅ワークの方はもっと増えます。 つまり人生の半分以 […]

住まいの空気の大切さ

私たちが体に取り入れる物質の多くは食べ物でしょうか、あるいは飲み物? 実はそうではありません。24時間呼吸によって吸い込んでいる空気です。 ※出典:臨床環境医学第9巻第2号 村上周三「住まいと人体-工学的視点からー」 私たちは呼吸によって1日に12~24㎏(10~20㎥)の大量の空気を身体に取り込んでいます。(20℃の空気は1㎥で概ね1.2kg) 食べ物や飲み物は通常2~3㎏程度しか接種しないので […]

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