【章トビラ 課題4-1】メインで採用する窓性能の断熱性能U値を求めてみましょう
「ぜんぶ絵でわかる7 エコハウス(エクスナレッジ)」の各章扉に出した課題の考え方や答えを綴るブログです。
本を手元に置いて、自分でも課題を考えてみてください。
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いろいろな性能やデザイン、価格帯の窓があり、これが完璧と言える商品はありません。
設計者は住まい手の要望や自身の考え方で選択していると思います。私も毎回悩みながら選択しています。
今回は例えばLIXILの「ハイブリッド窓TW」を選択してみます。このシリーズの中だけでも、ガラスの種類でさらに種類が分かれています。
トリプルガラス(クリプトンガス10mm入り)ダブルLowEをメインの開口部(引き違い窓W1690mm、H2230mm)に選択したとして断熱性能U値を求めてみましょう。
LIXILのHPの断熱のページを見ると断熱性能が表示されています。TWクリプトンガス入りで熱貫流率U値0.98W/㎡Kと示されています。
ただ、図の下の※にも説明がある通り、ある仕様(縦すべり出し窓)の場合の値ですので注意が必要です。
断熱性能U値を求める方法は4つあります。(84ページ)
どのU値を用いても良いですが、せっかくなので、4つの求め方を比較してみましょう。
方法1.表から求める方法(本では省略)
日本サッシ協会がまとめた表にアクセスします。
上部メニューの「お役立ち情報」から「技術資料」に入ります。
いろいろな技術資料がありますが、その中から「20-0501「建具とガラスの組み合わせ」による開口部の熱貫流率表(住宅用窓の簡易的評価による)」の表を確認します。
この表から、枠の仕様とガラスの種類で熱貫流率U値が求まります。
今回は表から、「樹脂と金属の複合材料製建具」と「三層複層ガラス Low-Eガラス2枚 ガス封入がされている 10mm」を読み取ると
方法1 熱貫流率U値 2.15W/㎡K
となります。
方法2.簡易計算で求める方法(84ページ)
84ページの樹脂と金属の複合材料製建具(複層)の式
Uw=0.800×Ug+1.15
を使用します。
Ugは84ページの代表的なガラスのUg値より1.00となりますので、上記式に代入して
方法2 熱貫流率U値 1.95W/㎡K
となります。
他のガラスのUgを知りたいときは、建築研究所の省エネ基準・技術情報(第三章・第三節)23ページから読み取れます。
方法3.ポータルサイトから求める方法(本では省略)
今回はリビングアメニティ協会のWindeyeを使用します。
フレームやガラスメーカーはLIXILを選択し、フレーム選択画面に入ります。
開閉形式やフレームの材質を選択しながら目的の「TW TG(クリプトンガス入り)」を探して選択します。
窓情報の入力・変更からサイズやガラスの仕様を選択すると熱貫流率が計算されます。
方法3 熱貫流率U値 1.25W/㎡K
となります。入力の手間はかかりますが、その分性能はかなり高く精度よく計算されます。
ただ、開閉形式やサイズが変わると同じTWシリーズでも異なるため、各窓の計算が必要になります。
方法4.自己適合宣言書から求める方法(88ページ)
メーカーが公開している自己適合宣言書を調べてその値を使用する方法です。
「LIXIL 自己適合宣言書」と検索すると「木造用 開口部(平成28年省エネルギー基準対応)」のページが見つかります。
上部メニューの「②【サッシ】試験値・計算値(代表試験体)」に入ると、各シリーズのリストが表示されるため、目的のシリーズの自己適合宣言書を表示します。
TWトリプルガラス(クリプトンガス入り)単体引違い窓の自己適合宣言書を表示します。
ガラス厚と中空層厚からBの値を確認します。
下表の熱貫流率の一覧がらBの値を読み取ります。
方法4 熱貫流率U値 1.19W/㎡K
となります。選択の手間はかかりますが、その分性能はかなり高く精度よく計算されます。
こちらも方法3と同じく、開閉形式やガラス仕様が変わると同じTWシリーズでも異なるため、各窓の選択が必要になります。
まとめ
4つの方法で求めてみました。
方法1 熱貫流率U値 2.15W/㎡K
方法2 熱貫流率U値 1.95W/㎡K
方法3 熱貫流率U値 1.25W/㎡K
方法4 熱貫流率U値 1.19W/㎡K
方法1と2は、開閉形式やサイズに関係なく使用できるので簡便です。
一方で方法3と4が求めるのに手間がかかる分、良い性能になっています。
開口部の性能は、建物全体に大きく影響を及ぼすので、ひと手間増えますが方法3,4で求めることができるようになると、精度も性能も上がりおすすめです。
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