【章トビラ 課題4-2】ガラスや枠を設定し窓の日射熱取得率η値(暖房期、冷房期)を求めてみましょう

ぜんぶ絵でわかる7 エコハウス(エクスナレッジ)」の各章扉に出した課題の考え方や答えを綴るブログです。
本を手元に置いて、自分でも課題を考えてみてください。
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今回は4-1の断熱性能で選択したLIXILのハイブリッド窓TWを選択してみます。このシリーズの中だけでも、ガラスの種類でさらに種類が分かれています。

トリプルガラス(クリプトンガス10mm入り)ダブルLowE日射取得型(庇ナシ)・6地域・南をメインの開口部(引き違い窓W1690mm、H2230mm)に選択したとして日射熱取得率η値を求めてみましょう。

日射熱取得率η値(庇補正なしの状態)を求める方法は4つあります。(86ページ)

どのη値を用いても良いですが、せっかくなので、4つの求め方を比較してみましょう。
紛らわしいのが、最終的なη値を求めるのに、これに掛け合わせる庇補正がさらに3つの方法があるということです。

方法1.省エネ法の表から求める方法(本では省略)

建築研究所の省エネ基準・技術情報(第三章・第四節)14ページから読み取れます。

表が3つあるため、枠の種類で適切な表を選択します。

今回は「樹脂と金属の複合材料製建具」の表を用います。

ガラスの種類と付属物の組み合わせからη値を求めます。

こここら庇等の補正をしていない状態でのη値が0.43と求まります。

 

次に、庇等の補正係数(今回は庇ナシのため斜入射特性のみ)を考慮します。

庇等の補正(斜入射特性含む)は3つの方法があります。(89ページ)

今回は庇が無い状態(斜入射特性のみ)で考えますので、方法AかBのどちらかで補正を行います。(庇がある場合は方法A,B,Cの3つあります。)

方法Aは固定値で冷房期0.93、暖房期0.51を先ほどのη値に乗じることになります。

方法Aは庇も見込んだかなり安全側を見ていますので、今回は、最も詳細な方法Cを用います。

建築研究所の省エネ基準・技術情報(第三章・第四節)10ページから斜入射の規準化日射熱取得率が読み取れます。

6地域の南、3層以上を読み取ると、冷房期0.767、暖房期0.841と読み取れます。

 

先ほどのη値に乗じると冷房期、暖房期のη値が計算できます。

方法1 日射熱取得率η値 冷房期0.330、暖房期0.362

方法2.ガラスと枠の種類から簡易的に求める方法(86ページ)

建築研究所の省エネ基準・技術情報(第三章・第四節)13ページからガラス単体の日射取得率を読み取ります。

ガラス単体のη値は0.54です。ここに枠の補正係数(86ページ)を乗じます。
樹脂+アルミは0.80なので、0.54×0.80=η値0.432となります。

今回はシンプルな構成のため、基本的に方法1と同じ値になります。

これに庇等の補正係数(今回は庇なしのため斜入射特性のみ)

方法Aで求めた冷房期0.767、暖房期0.841を用います。

方法2 日射熱取得率η値 冷房期0.331、暖房期0.362

方法3.JISに定める計算、測定した値を用いる方法(本では省略)

今回はリビングアメニティ協会のWindeyeを使用します。方法は断熱(熱貫流率)と同じ流れです。

フレームやガラスメーカーはLIXILを選択し、フレーム選択画面に入ります。

開閉形式やフレームの材質を選択しながら目的の「TW TG(クリプトンガス入り)」を探して選択します。

窓情報の入力・変更からサイズやガラスの仕様を選択すると熱貫流率と日射熱取得率が計算されます。

庇等の補正が無い状態でのη値は、夏期0.40、冬期0.39と求まります。

となります。入力の手間はかかりますが、その分性能はかなり高く精度よく計算されます。

庇等の補正が無い状態でのη値 夏期0.40 冬期0.39

これに庇等の補正係数(今回は庇なしのため斜入射特性のみ)

方法Aで求めた冷房期0.767、暖房期0.841を用います。

方法3 日射熱取得率η値 冷房期0.307、暖房期0.328

方法4.自己適合宣言書から求める方法(88ページ)

メーカーが公開している自己適合宣言書を調べてその値を使用( 自己適合宣言書」と検索すると「木造用 開口部(平成28年省エネルギー基準対応)」のページが見つかります。

上部メニューの「②【サッシ】試験値・計算値(代表試験体)」に入ると、各シリーズのリストが表示されるため、目的のシリーズの自己適合宣言書を表示します。

TWトリプルガラス(クリプトンガス入り)単体引違い窓の自己適合宣言書を表示します。

ガラス厚と中空層厚からη値を確認します。

庇等の補正が無い状態でのη値が0.46と求まります。

これに庇等の補正係数(今回は庇なしのため斜入射特性のみ)

方法Aで求めた冷房期0.767、暖房期0.841を用います。

方法4 日射熱取得率η値 冷房期0.353、暖房期0.387

となります。選択の手間はかかりますが、その分性能はかなり高く精度よく計算されます。

まとめ

4つの方法(86ページ)で求めてみました。

方法1 日射熱取得率η値 冷房期0.330、暖房期0.362
方法2 日射熱取得率η値 冷房期0.331、暖房期0.362
方法3 日射熱取得率η値 冷房期0.307、暖房期0.328
方法4 日射熱取得率η値 冷房期0.353、暖房期0.387

断熱性能ほど差は開きませんが、やはり開口部を丁寧に選択している方法3、4の精度が高いと考えられます。

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