【章トビラ 課題4-6】庇を窓の幅で1m出した場合、課題4-4で求めた日射熱取得量はいくらに変化するでしょう
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本を手元に置いて、自分でも課題を考えてみてください。
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庇等の補正係数の計算には3つの方法があります。(89ページ)
方法1 定数を用いる方法
方法1は庇の有無にかかわらず冷房期0.93、暖房期0.51を用います。
方法2 簡易計算で求める方法(89ページ)
庇の出zを1m、窓高さy2を2.2m、窓上高さy1を0mとして
冷房期の南面の式に代入します。
fC = 0.01✕(24+9✕((3✕0+2.2)/1) = 0.438
となり、2.2mのサッシに庇1mを出すと56%ほど日射をカットすることがわかります。
同様に89ページの式から暖房期fHも求めてみると、
fH = 0.01×5+20✕((3✕0+2.2)/1) = 0.490
方法3 日除け効果係数と斜入射特性を用いる方法(90、91ページ)
日除け効果を詳細に求めるために、建築研究所のWebプログラムを活用します。
建築研究所の省エネ基準のプログラムのページに入ります。
下にスクロールすると、外皮の項目にWEBアプリ「日よけ効果係数算出ツール Ver.3.6.0」が見つかります。
適切な寸法を入力します。
右上の計算ボタンを押すと、日除け単体での効果が計算されます。
庇のみの効果は、冷房期に0.670、暖房期に0.736となりました。
これに斜入射特性を乗じると、庇も含めた日射熱取得率η値が求まります。
斜入射特性は、建築研究所の省エネ基準・技術情報(第三章・第四節)10ページから斜入射の規準化日射熱取得率から読み取れます。
6地域の南、3層以上を読み取ると、冷房期0.767、暖房期0.841と読み取れます。(4-2の課題と同じ値を使用)
つまり、庇も含む日射熱取得率η値 冷房期0.514、暖房期0.619
となります。
まとめ(取得日射量補正係数)
3つの方法で求めてみました。
庇補正方法1 取得日射量補正係数 冷房期fC 0.93、暖房期fH 0.51
庇補正方法2 取得日射量補正係数 冷房期fC 0.438、暖房期fH 0.490
庇補正方法3 取得日射量補正係数 冷房期fC 0.514、暖房期fH 0.619
この取得日射量補正係数を、庇を含めていないη値に乗じると、最終的な日射熱取得率η値が求まります。
今回は課題4-2の方法4自己適合宣言書のη値0.46に乗じてみます。
最終的な日射熱取得率η値は、
庇補正方法1 日射熱取得率η値 冷房期0.423、暖房期0.235
庇補正方法2 日射熱取得率η値 冷房期0.201、暖房期0.225
庇補正方法3 日射熱取得率η値 冷房期0.236、暖房期0.285
となります。
今回はもっとも精度が高いと考えられる庇補正方法3のη値0.236を用いてみます。
課題4-4と同じ条件で、300W/㎡、1㎡あたりの日射熱取得量は、
0.236 ✕ 300W/㎡ ✕ 1㎡ = 70.80W
となりました。比較すると、
庇もブラインドも無い時 105.90W(課題4-4)
外付けブラインド設置 23.10W(課題4-5)
今回の1mの庇設置 70.80W(課題4-6:本記事)
今回の3つの中では、日射遮蔽で最も効果が高いのは外付けブラインドです。
暮らし方を工夫すれば、夏はブラインドを下して日射を遮蔽し、冬は巻き上げ日射取得を増やすなど夏と冬で衣替えすることで効果的に日射をコントロールできるためおすすめです。
外付けブラインドが高価で設置が難しい場合は、すだれでも同程度の効果が見込めます。
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