断熱、日射熱制御は熱収支で考える(心地よいエコハウスのつくり方18)
断熱性能で寒さを無くす
断熱性能の一番のねらいは室温変化を緩やかにし心地よさのベースをつくることです。
また、特に近年は室温と健康の関係が明確になり、暖かい環境が健康寿命を延ばすこともわかってきました。
断熱性能の重要性がさらに増しています。
日射熱制御性能で心地よさアップ
日射熱制御性能は、夏の日射遮蔽と冬の日射取得に分けて考えます。
夏は日射を遮って室内の温度上昇を防ぎ熱中症予防と冷房費の削減を目指します。
冬はなるべく日射を取り込んで、暖房エネルギーの削減と心地よい暖かさを得ます。
暖房と異なり、気流感のない柔らかい放射熱の暖かさはとても心地よいものです。
熱収支で温熱性能を考える
断熱と日射熱制御の2つの性能を数値で理解することで設計に活用できます。
・熱貫流率U値 [W/m2K] (断熱性能)
1m2あたり、室内外の温度が1K差(1℃差と同じ)の場合に何Wの熱を通すかを示す値です。数値が小さいほど断熱性能が高いことを示しています。
・日射熱取得率η値 [ー] (日射熱制御性能)
開口部にあたった日射の内、何割の熱が入ってくるかを示す値です。冬期は大きい方が日射が入り、夏期は小さい方が日射を遮蔽できています。
この意味合いがわかると、簡単に熱収支の計算ができます。たとえば下図の時の熱収支を考えてみます。
熱損失は、U値2.00W/m2×開口部面積4m2×内外温度差15K=120Wです。
日射熱取得はη値0.4×4m2×南面日射量600W/m2=960Wです。
つまり晴れた日中は120Wの速さで熱が逃げていきながら、960Wの熱が入ってきていることになり、840Wのプラスです。
これは一か所の窓から電気ストーブ強程度の熱が室内入ってきていることを示します。
このように日射の熱は非常に大きいため、断熱性能だけでなく日射熱取得もしっかり考えて計画しましょう。
一方で夜間は日射がなくなり熱損失のみになるため断熱性能を高めて室温低下を防止します。
ーーーーーーーーーーーーーーこの連載は全30回の予定で、月、水、金の20時の更新を予定
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