居室を連続暖房して寒さをなくす

家全体をずっと暖房すると廊下やトイレまでくまなく暖かくなりますが、暖房費も高くなってしまいます。
暖房をつけたり消したりすると、どうしても寒い部分が残ってしまいます。
どんな建物性能や設備、運転のバランスがいいのでしょうか。

暖房すると居室からもれる熱で廊下などもほんのり暖かくなります。間仕切壁や建具は断熱性能が弱いからです。

ということは、全館暖房でなくても、断熱性能を向上させてLDKだけを連続暖房することで、家から寒さがなくなるのではと考えられます。暖かくはないかもしれませんが、「寒い!」という感覚を取り除くことがポイントです。

例えば、暖房しているLDK(20畳)に無暖房の寝室(10畳)が隣接していると想定して、どの程度寝室が暖まるかを計算しました。
省エネ基準相当の断熱性能の家で間歇運転すると、明け方の寝室で12.3℃。(ちょっと寒いですね)
HEAT20G2では間歇運転で15.4℃まで暖かくなります。

LDKを連続運転すると、寝室は16.1℃を維持。寒さはなくなってきていますが、まだ肌寒いでしょうか。

また、引き戸を少し開けたりして空間がつながっていると、もっと暖気がいきわたりHEAT20G2程度で18℃程度、省エネ基準で17℃程度で安定してきます。

LDKだけなら連続運転でも暖房費は一冬で2,000円程度しか増えませんので効率的です。

歩くので活動量が多い廊下や布団(分厚い着衣)をかぶる寝室は、20℃まで必要ないこともあります。居室だけ連続運転の方法も検討して、住まい手の好みや年齢に合わせて調整しましょう。

※LDK20畳(20℃設定の暖房あり)、寝室10畳(無暖房)として、間仕切壁は無断熱で4.55mの長さがLDKに隣接。
※東京の冬の晴れた日を想定し、夜間は寝室に大人2人が就寝(発熱)していると仮定。
※外皮性能を等級3(UA1.39)、省エネ基準(UA0.69)、HEAT20G2(UA0.38)に変化させ、間歇暖房と連続暖房の場合の21時と6時を非定常計算で比較した結果。
※引き戸を5cm程度、開けた場合は熱流体解析の結果。

准教授 辻 充孝

※私のつたないスケッチではなく、イラストをたっぷり使った
「無理をしないで心地よくエコに暮らす住まいのルール」を建築知識で連載中。
寝室環境に着目した特集は、2020年12月号(第6回)。
このブログで書ききれない内容も書いてます。
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