静岡市歴史博物館(静岡県)
| 建物名 | 静岡市歴史博物館 | 住所 | 静岡県静岡市葵区追手町4番16号 |
| 設計者 |
SANAA(妹島和世+西沢立衛)
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施工者 | 木内建設 |
| 建築年 | 2022年竣工 | 訪問日 | 2026/3/21 |
— 過去と今、街と城が交差する場所 —
ちょうど満開の桜の季節。駿府城の東ご門を横目に見ながら、お堀沿いを歩いて到着したこの博物館は、歴史的な景観の中に、驚くほど軽やかで現代的な姿で佇んでいました。
世界的に活躍する建築家ユニットSANAAの手によるこの建築は、単なる展示施設ではなく、街と歴史を地続きにつなぐ「装置」としての役割を担っています。
■ 遺構が書き換えた、建築のシナリオ
館内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは床にぽっかりと開いた、荒々しくも力強い「道と石垣」の遺構です。
これは建設前の発掘調査で偶然発見された戦国時代末期の遺構であり、建築家はこれを取り込むために当初の設計を大きく変更しました。
遺構を囲むように緩やかなスロープが巡らされ、柱のないダイナミックな大屋根がその空間を包み込んでいます。
来館者はスロープを上がりながら、足元に眠る歴史の息吹を肌で感じ、期待感を高めながら展示室へと導かれていくのです。
■ 「雁行」と「透身」が生む、柔らかな境界
外観は、駿府城の石垣を思わせる「しっくい調」の壁や木製建具を用いた低層部と、アルミエキスパンドメタルで覆われた上層部のコントラストが印象的です。
特にエキスパンドメタルは、周囲の風景をうっすらと透過させ、建物の輪郭をぼかすことで、圧迫感を抑えた柔らかな表情を生み出しています。
■ パノラマに切り取られた、駿府の記憶
3階へと向かう途中に現れる、自由曲線で描かれた展望ラウンジは、この建築のハイライトのひとつです。
全面ガラス張りのブリッジが建物から突き出し、そこからは駿府城の巽櫓(たつみやぐら)や、晴れた日には富士山を一望することができます。
窓のない展示室を抜けた先に突如として現れるこの視界の開放は、歴史の学びを現代の風景へと着地させる、見事な演出となっていました。

















