富山県美術館(富山県)内藤廣設計

建物名 富山県美術館 住所 富山県富山市木水町3-20
設計者 内藤廣建築設計事務所 施工者 不明
建築年 2017年竣工 訪問日 2026/5/25

富岩運河(ふがんうんが)を望む西側のファサードは、非常にすっきりとしたシンプルなガラスのカーテンウォールで構成されています。

過度な主張をせず、周囲の広大な空や水面のきらめき、そして遠くにそびえる立山連峰の稜線を美しく映し出すこの外観は、周囲の都市景観に驚くほど自然に馴染んでいます。昼は風景を映し、夜は館内の温かい光が漏れ出す行灯(あんどん)のようになり、時間ごとに異なる表情でアートの拠点をアピールしています。

一歩エントランスに足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが、エントランス内部を彩る鮮やかな赤い壁です。
この「赤」は、これから始まるアート体験への高揚感をグッと高めてくれる素晴らしいアクセント。空間全体を緩やかに分節しつつ、視線を奥へと誘導する強いアイコニックな存在感を放っています。

見上げると、内藤廣建築の真骨頂とも言える美しく木質化された天井が広がっています。
富山県産の杉材を贅沢に使用した縁取りされた美しい天井。この、構造の美しさと木の温もりを融合させる天井の仕立ては、まさに「内藤さんらしさ」全開のディテールです。

2階へと続く大階段や吹き抜けに設置された「手すり」内藤デザイン。ここの手すりは、視界を遮らないよう徹底的に細く、軽快なデザインで仕上がっています。

この「軽さ」のコントロールがあるからこそ、大空間がより開放的に、より洗練されて見えるのです。

この美術館を訪れたら絶対に外せないのが、屋上庭園「オノマトペの屋根」です。

芝生が広がり、グラフィックデザイナーの佐藤卓氏が手がけたユニークな遊具が並ぶこの場所は、とにかく圧倒的に気持ちいい!
訪れると、放課後にふらっと立ち寄った地元の高校生たちが景色を眺めながらおしゃべりしていたりして、とても良い雰囲気が流れています。

敷居の高い「美術の殿堂」ではなく、地域の人々の日常に寄り添うパブリックスペースとして機能しているこの光景こそが、この建築の最大の成功と言えるかもしれません。

この建物の魅力は建物単体にとどまりません。目の前に広がる「富岩運河環水公園」との関係性が本当に見事です。

建物のガラスファサードが公園の水辺に向かって大きく開かれているため、館内にいてもまるで公園の延長線上にいるかのような感覚を覚えます。美術館の敷地と公園の境界が緩やかに溶け合い、一体となった「気持ちいい都市空間」が形成されています。アートを鑑賞するだけでなく、ただここに身を置いて外を眺めるだけで、豊かな時間を過ごすことができます。

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