YKKパッシブタウン 第3街区(富山県)森みわ 設計

建物名 YKKパッシブタウン 第3街区(J棟・K棟) 住所 富山県黒部市三日市
設計者 森みわ(キーアーキテクツ) 施工者 松井建設
建築年 2017年竣工(改修) 訪問日 2026/8/7

黒部市にある環境共生型街区「YKKパッシブタウン」。今回は、以前から気になっていた第3街区へ二度目の訪問を果たした。今回は学生と一緒。

第3街区の最大の特徴は、新築ではなく既存の社宅マンションをスケルトンリノベーションしている点だ。建て替えではなく既存躯体を活かすこのアプローチは、Life Cycle Assessment(LCA:ライフサイクル査定)の視点からもCO2排出量を大幅に削減できる。これからの脱炭素時代における集合住宅再生の素晴らしいモデルケースと言える。

もちろん、リノベーションでありながら温熱環境のスペックは圧倒的だ。高気密・高断熱を徹底追求した超高性能な室内環境が構築されている。

特に技術的・意匠的に感動したのがヒートブリッジ(熱橋)の処理だ。既存のRC造片持ちバルコニーを一度すべて切り落とし、外断熱材で包み込んだ上で、構造的に自立した鉄骨バルコニーを外側に新設している。熱橋を根本から排除する徹底した納まりの工夫は、まさに圧巻の一言に尽きる。

室内に入ると、コンパクトながら無駄のない動線計画で非常に使い勝手が良さそうだ。インテリアも画一的な白一色ではなく、要所に効果的なアクセントカラーが効いており、空間全体に軽やかで華やかな表情を与えている。

当日は照りつけるような強い日差しが降り注ぐ「すごい暑い日」だったが、建物を取り囲む緑豊かなランドスケープの効果に驚かされた。豊かに育った樹木やグラウンドカバーが地表の温度上昇を抑えており、アスファルトやコンクリートからくる不快な放射熱の影響が明らかに和らいでいることを体感できた。

建築単体の温熱性能だけでなく、周辺の外部環境も含めた包括的なパッシブデザインの凄みを改めて実感できた、実りある再訪となった。

 

既存建物のため新しいスイッチやコンセントはアラワシで納めている。メンテにも有利。

 

 

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