家相や風水は気を付けた方が良い??

若い夫婦が家相や風水は気にしませんと計画を始めたら、計画終盤で両親から鬼門の水廻りは家相が悪いから位置を変更した方が良いと・・・。
家相や風水は計画の根本を揺るがすことになりかねません。

家相や風水を守るのが正しいのか、今回はこの辺りを考えてみたいと思います。

鬼門や裏鬼門に水廻りを置くと家族が不健康?

北東(表鬼門)は、昼過ぎから日射が当たらなくなります。そこに脱衣所や浴室を置くと、冬の夜間、最も室温が下がった状態になり、ヒートショック(当時は原因不明?)で亡くなる方も多かったのではないかと考えられます。(この統計データは4回目のコラムを参照してください。)

同様に南西(裏鬼門)は、朝から徐々に室温が上がり、西日でダメ押しされ非常に暑くなります。蒸し暑い室内は、冷蔵庫の無かった時代であれば食材が腐ったり、雑菌が繁殖したりと食中毒などの被害もあったのではと考えられます。

現在では断熱強化と日射遮蔽でこれらの問題は解決できるようになり、十分な対策をとることが可能です。

吹き抜けは不運の象徴?

吹き抜けは不運の象徴と言われることがあります。

上下の高低差が大きい吹き抜けは、暖かい空気が上の方にいきますが、気密性能が悪いと天井付近から暖かい空気が漏れてしまい、足元から外の冷気を吸い込んで、足元が冷えて不快です。

しかも近年の研究で、室温が暖かくても足元が冷えていると、高血圧や糖尿病などの病気が多くなることがわかっており、昔から吹き抜けによって健康を害する人が多かったのではと考えられます。(もうすぐ公開予定の森林文化アカデミー2019年度のAnualReportの私の研究を参照)

ですがこちらも現在では気密性能を高めることで、上下の温度差をかなり少なくすることが可能になっています。

温熱性能を向上させることで、計画的に不利な状況を回避することは可能ですが、家相や風水には、目に見えない気の流れを整える作用があるともいわれ、まだまだ科学的に判断できない部分もあります。

また住まい手が気にしだすと、事故があった時に本来は無関係でも、関連付けて考えてしまいますので、心理的要因から、気になる住まい手や家族がいれば、最初から考えて計画すべきです。

            つまり家相や風水は、先人の知恵を尊重しつつ、今人の知識で対処しましょう。

価値観アンケートをとってみる。

前回の夏を旨とする家づくりや、今回の家相や風水など、計画終盤で「えっ・・・それを気にしてるの??」といったことはありませんか。
そんな時、住まい手の価値観を共有していると、手戻りが少なくなりますし、住まい手の人となりも見えてくると思います。

そこで、計画の初期段階で「価値観アンケート」なるものをとってみるのはいかがでしょうか。

価値観アンケートは、岐阜市にある鳳建設の森さんにお聞きして、これはいいツールだと私もアレンジして使用しています。
例えば、下記のように聞きたい項目を直感的に「はい」、「いいえ」で書いてもらえるように表にするだけです。(私はA42枚にびっしり聞くことを書いてます。)

家相や風水と同じで、理屈があってないから即却下ではなく、住まい手の価値観も尊重して考えましょう。

価値観アンケート
・家相や風水は気にするほうだ。 「はい」「いいえ」
・多少の落ち葉があっても庭は緑豊かな方が良い。 「はい」「いいえ」
・部屋が暑くなるとしても夏は通風をしたい。 「はい」「いいえ」
・景色が悪く全く陽が当たらなかったとしてもリビングには大きな窓が欲しい。 「はい」「いいえ」
・家づくりにおいては私たち夫婦より子供たちを優先したい。 「はい」「いいえ」

皆さんの価値観はいかがでしょう。

もしかしたら同じ価値観と思っていた家族間でも違っているかもしれませんよ。

准教授 辻 充孝

※私のつたないスケッチではなく、イラストをたっぷり使った
「無理をしないで心地よくエコに暮らす住まいのルール」を建築知識で連載中。
ほかの家相話題や価値観アンケートの見本は、2020年9月号(第3回)。
こちらもぜひご覧ください。