温熱性能の向上と防露性能はセット(心地よいエコハウスのつくり方20)

温熱性能を高める上で気を付けないといけないのが防露性能です。
温熱性能が向上すると室内外の温度差が大きくなり、結露リスクが高まります。
結露によって木材腐朽菌やシロアリが生息しやすく建物が短命になったり、ダニやカビによって健康を害してしまいます。
そのため、防露性能を確実に確保する必要があります。

結露は室内外の温度差が大きくなる冬と夏に、目に見える部位で発生する表面結露と、躯体内に水蒸気が入って発生する内部結露があり、組み合わせると4つの結露があります。

4つの結露の発生原因と対策を考えてみます。

・冬型内部結露

室内の水蒸気が躯体内に入って躯体内の外部側で結露する現象。水蒸気の侵入を抑えるように室内側に防湿層を設置。湿った空気を入れない気密化も重要。

・冬型表面結露

冷えた室内側表面で結露する現象。対策は断熱強化。概ね省エネ基準以上で問題なし。開口部のみ樹脂アルミ複合サッシ以上。

・夏型内部結露

蒸し暑い外気が躯体内に入り、冷房で冷やされた躯体内の室内側で結露する現象。室内を冷やしすぎないことと、透湿可変シートを内側に用いるなどの対策

・夏型表面結露

冷房した室内で冷やされた開口部の外部側で結露する現象。そもそも濡れることを想定した外部なのであまり気にしなくてよい。

4つの温熱性能をバランスよく

温熱性能は熱の出入りをコントロールし、夏の暑さや冬の寒さを取り除きます。
この温熱性能には断熱性能、日射熱制御性能、気密性能、防露性能の4つがあり、それぞれに大切な役割を担っています。

断熱だけ頑張って断熱等級7を確保しても、窓が小さく日射熱が入らなければ心地よい暖かさを享受できませんし、防露対策が不十分だと短命な家になってしまいます。

一つの温熱要素だけにこだわらず、全体をバランスよく高めることで、心地よくエコに暮らす素地が出来上がります。

ーーーーーーーーーーーーーーこの連載は全30回の予定で、月、水、金の20時の更新を予定
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