開口部からの日射熱取得を読む
- 2022.03.10
- エコ・コラム
開口部から入ってくるポカポカした日射熱は、暖房設備にはない心地よさです。
一方で夏はしっかりガードしないと暑くてたまりません。
夏はしっかり遮りつつ、冬の日射熱を上手く取得する仕組みを考えてみます。
日射が入る割合は日射熱取得率η(イータ)値で判断する
日射熱は冬はたっぷり取り入れたいですが、夏はなるべく排除したい要素です。つまり冬の日射熱取得と夏の日射遮蔽を両立させることを考えます。
その判断の手がかりとなるのは日射が入ってくる割合を示す日射熱取得率η値です。
外皮に当たった日射の80%の熱が入ってきたとすると、日射熱取得率η値は0.8と表します。
ガラスからの日射熱は付属物でコントロールする
ガラスを通して入ってくる日射熱をコントロールするのは、庇だけではありません。障子やカーテンといった付属物の影響がかなり大きいのです。しかも付属物は、夏と冬で変化させやすくお勧めです。
■付属物の効果を数値で理解する
ガラスに付属物を組み合わせた時の日射熱取得率η値を下の表に示します。
例えば、Low-Eペアガラス日射取得型を見ると、ガラスだけで0.64(ガラスに当たった日射の64%が入ってくる)ですが、和障子を閉めると0.38になります。すだれを吊るすと0.19にまで下がります。付属物で3倍以上も遮蔽効果が向上します。
※ 省エネ基準では、建築的に設置される和障子と外付けブラインドのみで評価するルールとなっているため注意します。
数値から分かるように遮蔽効果は外部ブラインドやすだれなど、屋外で行うのが効果的です。
つまり、室内のカーテンは、日射はガラスを透過して室内のカーテンに当たり、カーテンが熱を持ちますが、外部側にはガラスがあるため外部に放熱できず室内に熱がこもってしまうためです。
一方、すだれなどは外部で遮蔽する場合は、すだれに当たった日射が熱に変わりすだれを熱くしますが、そのまま外部に放熱するため室内への影響が少ないためです。
さらに緑のカーテンを隙間なく上手く育てることができれば、蒸散効果のため、すだれように熱く(すだれ表面が50℃を超えることもあります)ならないため寄り効果的です。
夏はすだれを吊って日射を遮りつつ、冬はすだれを外して日射を取り込むなど、夏と冬でモードを変化させると効果的です。
日射が当たったすだれは熱くなりますので、窓の外にパネルヒーターがあるようなもの。なるべくガラスから離して設置するのが効果的です。
准教授 辻 充孝
※「無理をしないで心地よくエコに暮らす住まいのルール」を建築知識で連載中。
断熱性能UA値の活用は、2021年9月号(第15回)で解説。
2021年9月号 第15回「日射熱制御の基本① 開口部からの日射熱取得を読む」
RULE1 日射はη値で判断する
RULE2 付属物でコントロールする
RULE3 開口部の日射熱取得率η値は、ガラス・付属物・窓枠・庇の4つで決まる
RULE4 日射量は方位、時刻、曇り具合で大きく変わる
やってみよう! 「開口部の日射熱取得と熱損失の損得計算」
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