ホテルキーフォレスト北杜(山梨県)
| 建物名 | ホテルキーフォレスト北杜 | 住所 | 山梨県北杜市小淵沢町10248−16 |
| 設計者 | 北川原温 | 施工者 | 不明 |
| 建築年 | 2015年 | 訪問日 | 2026/2/10 |
— 線を消し、素材を際立たせ、静けさを編む建築 —
キース・へリング美術館のすぐ隣に建つ「ホテル キーフォレスト北杜」。
同じ敷地にありながら、美術館とはまったく異なる“静けさの質”を持つ建築だ。
■ 上質な空間が、ただそこにあるだけで心地いい
ロビーに足を踏み入れた瞬間、空気がふっと整う。
過剰な演出はないのに、素材の選び方や光の落とし方が絶妙で、
“上質”という言葉が空間そのものから滲み出てくる。
木、石、金属。
どれも主張しすぎず、しかし確かな存在感を持っている。
触れたときの温度、歩いたときの響き、座ったときの重心の落ち着き。
身体が自然と深呼吸を始めるような、そんな空間のつくり方だ。
建築の“質”は説明しなくても伝わる。
それを体感できるのが、このホテルの強みだと思う。
■ 線を消したシンプルなディテールが、空間の静けさを支えている
このホテルの魅力は、なんといっても“線を消す”ディテールの徹底ぶりだ。
巾木は見えず、枠は極限まで薄く、設備の存在感はほぼゼロ。
壁と天井の取り合いも、影のラインが美しく、空間の輪郭が曖昧に溶けていく。
余計な線がないからこそ、素材の質感が際立ち、
光が面として広がり、空間が静かに深まる。
学生たちには、この“見えない努力”がとても良い教材になった。
「線を消すって、ただシンプルにすることじゃないんだね」
そんな言葉が聞こえてきて、こちらも嬉しくなる。
■ 美術館との対比が、建築の幅を教えてくれる
隣のキース・へリング美術館は、光と影のリズムが強く、作品のエネルギーを受け止める“器”としての建築だった。
一方、このホテルは、作品ではなく“滞在する人”の感覚を静かに整える建築。
同じ敷地に、これほど異なるアプローチの建築が並んでいること自体が、学生にとっては最高の教材だ。
「建築って、こんなに幅があるんだ」
その実感が、歩くたびに積み重なっていく。











