環境家計簿で暮らしを読む(心地よいエコハウスのつくり方28)
エネルギー計算は、標準的な暮らし方をした場合の値です。ですが実際には、お風呂好きで給湯が多かったり、寒がりで暖房が多かったりとエネルギー消費量は家族によって大きく異なります。
そのため、一般的な暮らしのエネルギーではなく、その家族の暮らしを読み取ることが丁寧な設計に繋がります。
暮らしを読むツールとして環境家計簿を紹介します。住まい手の光熱明細から得られた電気やガスの使用状況から、実際の暮らしぶりを分析してみましょう。
たとえば愛知県にお住いの3人家族の電気やガスが下記のような使用量でした。
ですが、この情報だけでは多いか少ないかわかりません。
そこで、私がまとめた2016年-2020年の一般家庭の標準的な値(下表:書籍の2006-2010年よりアップデートしています)と比較して分析します。
一般的な3人家族の使用量は1月電気が546kWh、都市ガスが45m3です。つまり1月の電気は多く、都市ガスが少し少な目です。
ここからは燃料ごとに用途をイメージします。
1月の電気は暖房、換気、照明、家電に、都市ガスが給湯と調理に使用しています。
1月の電気が多いからといって暖房が原因と判断するのは早計です。もしかすると大画面テレビなどの家電が原因かもしれません。
分析のコツは1月(冬期)、6月(中間期)、8月(夏期)の季節間の増減を比較することです。暖冷房を使用しない6月と比べて増加分が暖房や冷房です。
この家族の6月はかなり少ないため1月は暖房を多く使用していることがわかります。
より詳細に分析するには、私も開発に携わっている「住宅消費エネルギー用途分解プログラム」を使用すると光熱費データから使用している用途のバランスがわかります。(https://youtobunkai.app.jjj-design.org/)
ーーーーーーーーーーーーーーこの連載は全30回の予定で、月、水、金の20時の更新を予定
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