建築物省エネ法改正の閣議決定 ライフサイクルカーボン
「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定
ライフサイクルカーボンの評価が盛り込まれました。
ライフサイクルカーボンの評価が盛り込まれました。
今回の改正の大きな柱は、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、これまでの「建物の使用段階」だけでなく、資材の製造から解体までの「ライフサイクル全体」での脱炭素化を目指している点にあります。
具体的な主な変更点は以下の通りです。
1. 「ライフサイクルカーボン(LCC)評価制度」の創設
これまで注目されてきた建物使用時の省エネに加え、資材製造・施工・解体時を含めたライフサイクル全体の二酸化炭素排出量を評価する仕組みが導入されます。
- 建築主の努力義務: 建築主はLCC評価を実施するよう努め、設計を委託された建築士は建築主に必要な説明や協力を行うことが位置づけられました。
- 大規模建築物の届出義務: 一定規模以上(例:5,000㎡以上の大規模事務所など)の建築主には、着工の14日前までにLCC評価結果を国土交通大臣に届け出ることが義務付けられます。
- 建築材料への表示: 国のルールに従って算定された炭素排出量原単位を、建築材料などに表示できるようになります。
2. 「上位住宅トップランナー制度」の導入
住宅供給事業者への規制が強化され、より高い水準の省エネ性能が求められるようになります。
- 対象の拡大: 市場の概ね1/4を占める大手事業者を「上位住宅トップランナー」として指定します。
- 計画策定と報告の義務化: 指定された事業者は、高い省エネ性能(ZEH水準超など)を持つ住宅の供給に関する中長期的な計画を策定し、毎年度その取り組み状況を国に報告しなければなりません。
3. 先導的な省エネ技術に対する大臣認定
これまでの基準では評価が難しかった特殊な構造や最新設備(例:自然換気システムやペロブスカイト太陽電池など)を正当に評価する仕組みが整います。
- 容積率の特例: 国土交通大臣が誘導基準と同等以上の性能があると認定した建築物は、認定対象となり、容積率の緩和などの特例を受けることが可能になります。
4. 環境性能の「見える化」促進(第三者認証・表示制度)
建築物の環境性能(LCCや省エネ性能)を一般消費者にもわかりやすく示すための制度です。
- 標章(マーク)の表示: 国土交通大臣の登録を受けた機関による第三者認証を受け、その証となる標章を建物や広告などに表示できるようになります。
5. 法律名の変更
今回の改正に伴い、法律の名称自体が「建築物のエネルギー消費性能の向上及び脱炭素化の促進に関する法律」へと改められます。
背景と目的: 日本全体の温室効果ガス排出量の約4割を建築分野が占めていることから、この分野での取り組みは非常に重要です。今回の改正により、建築の設計・施工段階から木材活用や低炭素建材の採用を促し、建築分野全体の脱炭素化を加速させる狙いがあります。
- 原則として: 一部の規定を除き、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において、政令で定める日から施行されます。
- 一部の制度: 以下の事項については、公布の日から起算して1年を超えない範囲内で施行される予定です。
- 上位住宅トップランナー制度
- 先導的な省エネ技術に対する大臣認定
- 容積率の特例制度の拡充など
- 準備行為など: 基本方針の策定や指針の準備に関する規定などは、公布の日から施行されます。
なお、この法案は2026年(令和8年)3月27日に閣議決定されたものであり、実際の施行日は今後の国会での成立を経て「公布」された日から計算されることになります。


