「風の谷」という希望(安宅和人)

「風の谷」という希望

お盆休みから読み始めて2週間。
久しぶりの感動作、安宅和人さんの「風の谷という希望」。
1000ページの大ボリュームですが、読みやすく最後まで楽しく読み進められます。厚さに負けず完読することをおすすめします。
分かってはいるけど、気に留めないように無意識に除外していた感覚を的確で大量の図表と明快な言語化でこれでもかと畳みかけてきます。
人口調整局面と地球との共存が大きな課題に対して、都市に対するオルタナティブがあるかを模索しているのが本書です。
例えば、田舎暮らし。自然と共生してそうな響きの良い暮らしですが、上下水道や電気のインフラの維持だけを考えてもとても住民の税収だけではとうてい維持できない今のままでは持続不可能な暮らし。都市からの大量の支援で成り立っている。逆に都市は経済効率的な暮らしのモデルです。
ただ、都市で人らしくクリエイティブに生きられるかというとそうでもない。
解決策の模索を林業やエネルギー、医療、教育など多方面から検討し、旧来の田舎暮らしにはない、疎空間の魅力を最大限に活かしつつ、最新テクノロジーの取入れやある分野では都市との連携を行ったり。
合理的な考え方で解決策を模索するのはさすが安宅さん。実現できそうと考えさせられます。
最終章ではどのように実現できるかまでのイメージを共有できる心地よい読後感。
この難しいテーマに対する読みやすさは何かと考えると、安宅さんの全てが前向きに考えられて悲壮感が無いこと。都市の良さも認めつつ、疎空間とどのように連携してお互いの良さを引き出せるか。ワクワクします。
また、文章の書き方も秀逸で、最初に要点はいくつあり、一つ目は・・・といった具合に章ごとの文章の読みやすさも大きなポイント。
もちろん風の谷という理想郷は永遠に完成しないことは分かってはいるのですが、それでも前向きに活動を始めた人や地域は風の谷と呼んでも良いのではと思います。
本はあまり折り目もつけずにきれいに読むのが基本姿勢なのですが、年に数冊は読み始めてこれはすごいと感じた本に最初から赤ペンで要点を引きながら記憶にとどめる癖があります。宿谷さんの「人・建築・地球とエクセルギー」以来かな。

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